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航空用語解説 アルファベット順 |
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「A]
絶対高度:(absolute altitude)
地表から飛行中の飛行機迄の実距離。
絶対上昇限度:(absolute ceiling) 飛行機が上昇出来、且つ水平飛行が維持出来る最高高度。
高等飛行:(advanced maneuver)
一般に編隊飛行や戦術飛行を含む曲技飛行全般を言う。
高等練習機:(advanced trainer) 実用機課程に移る以前に使用する練習機。編隊飛行、戦術飛行、盲目飛行等の訓練を行う。
加速ポンプ:(accerating pump) 気化器の浮子室の燃料内にあって、スロットル・レバーで作動されるピストン型のポンプ。
絞り弁をゆっくりと開くときには、ピストン下方の燃料はピストンとシリンダの隙間から浮子室へかえるが、 急激に開くとポンプの中の燃料は押し出され、急加速時の混合気の一時的な希薄化を防ぐ働きをする。 点検扉:(access door) 装備品の整備、或いは点検を行うに便利なように機体各部に設けられた扉。
アクリル樹脂:(acrylic resin) メチル・メタ・アクリル酸で、エステル型有機化合物の一種。
無色透明の樹脂で光線、紫外線の透過率が良好で熱可塑性に優れている。
日本では日華事変当時に航空機用として作られ始め、プレキシグラス又は風防ガラスと呼ばれる。 作動装置:(actuator)
油圧系統及び電気系統のエネルギーを仕事に変換する装置。
加速停止距離:(accelerate-stop
distance)
飛行機が離陸滑走を始めてからエンジンが故障して離陸を断念し、
ブレーキ等の制動装置を用いて完全に停止するまでの距離を言う。 加速消焔:(acceleration blowout)
ジェットエンジンの急激加速に際して空燃比が一時的に変化して、燃料が濃くなる事で、焔が消失する現象。
加速度誤差:(acceleration error)
飛行機の加速又は減速によって磁気羅針儀(マグネティック・コンパス)の誤差。
磁針の俯角によるコンパスエラーは、機首が東方又は西方に向いている時に見られる。 加速度計:(accelerometer)
飛行中の機体構造部に掛かる重力加速度の大きさを計測する計器で、
その主要部は制動液を満たしたガラス管と、その中に収められたスプリングで支えられた重錘と浮子からなっている。 事故:(accident)
機体の構造、設計、組み立ての欠陥、エンジン故障、パイロットの判断の誤差、気象状況等に起因する航空機事故。
曲技飛行:(acrobatics)
宙返り、錐揉み、横転、背面飛行、上昇反転、急反転、失速反転、
イメルマン・ターン等パイロットの意思により故意に行う操縦運動。飛行機の異常飛行状態での特性を知得、 あるいは位置姿勢の感覚を体得する為に訓練課目としてパイロットに課されるが、 特に戦闘機パイロットの戦闘行動の基本として重用される。 作動筒:(actuating strut)
降着装置、動翼、フラップ等の油圧作動系統に装備されている作動装置の一種。その基本構造は、
シリンダとピストンの組み合わせからなり、高圧作動油がシリンダ内に送り込まれる、 とその圧力でピストンが移動して前述の諸部品を作動させる。 急性高空病:(acute altitude
sickness)
上昇速度及び高空滞留時間に関連し、酸素不足が原因で急激に引き起こされる色々な障害。
その症状は高度3〜6km(約1万〜2万フィート)では不安感、疲労感、眩暈、脈博増加、血圧増加、呼吸増加、 さらに精神活動の低下等を起こす。 5〜7km(1万6千〜2万3千フィート)では悪心、嘔吐、あくび、眠気、頭痛、チアノーゼ等の症状を呈し、
注意力散漫、思索困難、精神錯乱状態となってくる。 7〜8km(2万3千〜2万6千フィート)では、精神機能並びに視力の減退、筋肉運動の障害、痙攣発作、不整脈等の症状を呈する。
8km(2万6千フィート)以上の高空では、聴力減退、失神、昏睡、呼吸中枢機能の破綻、
欠陥運動中枢の破綻(血圧降下)の症状を呈し、ついには死亡する。急性高空病予防の最良の方法は酸素吸入である。 自動方向探知器:(automatic direction
finder)
航空機の機上に、指向性のループ・アンテナと無指向性の普通のアンテナとを組み合わせて搭載し、
地上ビーコン局の電波の到来方向の位置を知る航法装置。 調整式安定板:(adjustable
stabilizer)
安定板取り付け角度が適宜変えられる様になっている物で、
地上においてのみ調整可能な物と飛行中に操縦席から遠隔調整可能な物とがある。 調整ピッチ・プロペラ:(adjustable-pitch propeller) 地上に措いてプロペラピッチを変える事が出来るが、飛行中はピッチ変更は出来ない。
航空図:(aeronautical chart)
地球の地表の変化を目的に応じて平面に表現したものが地図で、空中航法用の目的で作られたものが航空図である。 一般にはMapとChartは混同されているが、Mapは陸図であり海図や航空図等はその上で航法の為の 作業を行う事を目的で作られているのがChartである。従って、航空図を航空地図とは言わない。 自動混合比調整器:AMC(Automatic Mixture Control) 空気密度が減少すると燃料流量を自動的に減少させる装置。
逆片揺れ:(Adverse yaw) 旋回時、操縦桿を旋回方向へ倒すと片側の補助翼(エルロン)は下がり、
他の補助翼が上がる事で旋回が行われる。しかし、上げた補助翼の抗力は減るが、 下げた補助翼側の抗力は増加する事により機首が外側へ向こうとする。 この様な欠点を解決する為に補助翼の作動範囲に制限を設けられている。 零戦の補助翼では、上方最大作動角30°、下方最大作動角20°の差動補助翼になっている。 アフターバーナー:(afterburner)
ターボジェットエンジンの一時的推力増加を図る為の装置。タービン後方に尾管部を装備して、 ここへ燃料を噴射して未燃焼ガスと共に燃焼させるようにしている。アフターバーナーを使用した場合、 燃料消費率は著しく大きくなる。 航空写真機:(air camera) 飛行中の飛行機から地上を撮影する為に搭載装備される写真機。
高精度の垂直撮影航空写真機と広地域を迅速に撮影する斜撮影航空写真機がある。 空冷発動機:(air-cooled engine) シリンダの冷却を空気により行うもの。シリンダの配列方式で星型、水平対向型がある。
航空母艦:(aircraft carrier) 各種の飛行機を搭載し、これらの搭載機を発艦及び着艦させる事の出来る海上の移動飛行場といる軍艦。
飛行甲板上に艦橋、煙突等の障害物のない平型(flush)と、それらを飛行甲板の片舷に寄せた島型(island)とがある。 現在の空母の飛行甲板は、母艦の艦尾線に対して斜め方向に飛行甲板を設けられている。
これは、英海軍のマクドナルド中佐が1948年に着想したもので、
斜甲板(angled deck)と呼ばれる。この斜甲板では、高速機を安全に着艦させ、艦載機の同時発着が可能となる。 混合比:(air fuel ratio) シリンダに供給される空気と燃料との混合の割合をいう。
燃料1gの完全燃焼に必要な空気量は15gで理想混合比は、15:1の割合となる。
しかし実際には、11:1〜16〜1の間の割合が使われている。 空気取入口:(air intake) 航空エンジンの空気流入口のこと。取り付け位置、形状等は装備エンジンの性能を左右する。
航空日誌:(air log/log book) 飛行時間や任務等を搭乗者が日々記載し、その集計が一目瞭然となるようにしたもの。
エアーブレーキ:(air brake)
飛行中の速度を減速させたい時に機体の一部を胴体、主翼表面から出すことにより抗力を
生じさせ減速させるのに用いられる装置。 飛行機の急降下時に用いられる装置で、ダイブ・ブレーキ、ダイブ・フラップ等と呼ばれものがある。 補助翼の逆効き:(aileron reversal) 補助翼を使った時に、下げた部分の主翼は結果的に迎え角とキャンバーが増し
圧力の中心が後方へ移る。この為に主翼は下げる向きに捩りが働き、 反対に上げた部分の主翼は前縁を上げる向きの捩りが働く。主翼の剛性が低かったり、 後退角が大きく、且つ縦横比の大きい主翼の高速機では、機何学的構造上このような傾向が強く、 補助翼を操作した時の翼型は捩れたものとなる。この結果、補助翼の効きは悪化し、 場合によっては逆効き現象を起す。この現象は高速になる程一層顕著なものとなり、 現行の大型ジェット旅客機では、外側補助翼(outboard aileron)と 内側補助翼(inboard ailron)の2種類の補助翼が設けられていて、低速時には外側翼が作動し、 高速時では内側補助翼だけが作動する様になっている。 交流発電機:(alternator) 航空機の色々な装備品等に供給される電力のうち、
エンジン駆動により交流電力を発生する発電機で115V3相400サイクルが多く用いられる。 取付角:(angle of attachment)
翼の機体基準線に対する角度。翼の組立調整時の基準に用いる。
迎え角:(angle of attack)
翼が空気の流れの中におかれた時に、この流れの方向と翼弦線とのなす角を迎え角と言う。
米語=angle of attack
英語=angle of incidence
羽根角:(angle of pitch)
プロペラ回転面と、その翼翅断面翼弦のなす角度。
羽根角が増大すればプロペラ効率も増加するが、45°以上となると減少する。ピッチ角とも言われる。 失速角:(angle of stall)
翼の失速の発生する迎え角。臨界角とも言われる。
視界:(angular range of view)
操縦席より見える範囲。前方視界(方向角を以って表わす)、
上方視界(迎角を以って表わす)、下方視界(俯角を以って表わす)が在る。
オールフライングテール:(all flying tail)
亜音速機の水平安定板は一定の取付角で機体に固定されていて、
機体の引き起こしや旋回等の運動は昇降舵によって行われ、 飛行速度に応じて必要になる機体姿勢の変化に対してはトリムタブを使用して昇降舵で行われている。 しかしこの様な方式で音速に近づくと、水平安定板の前縁から衝撃波が発生し、 操舵力が急増すると共に昇降舵の効きも低下してしまう。 この様な高速飛行時での不安定な現象を克服する為に、水平尾翼全体が動くようにした。 最初に実用化したのは、ノースアメリカンF-86Eだった。 尚、彩雲の調整式安定板の解説等で良く「揚力不足を補う為のオールフライング式の水平安定板」との説明を見掛けるが、
これは全くの誤りである W型エンジン:(arrow engine) シリンダの配列をW型としたエンジン。
襲撃機:(assault airplane) 地上の機甲部隊を低空から攻撃するのを主任務とし、戦闘機並みの運動性に装甲車、
戦車等を撃滅し得るための火器を装備し、長い航続距離を要求される飛行機。 縦横比:(aspect ratio) 翼幅の2乗を翼面積で割った値。
組立冶具:(assembly jig) 機体の各部構造の組立ての際に使用される冶具をいう。
補助翼:(aileron) フランス語から変化した語。主翼後縁に取り付けられた上下に可動する小翼面で、横安定を司るもの。
例えば操縦桿を右に倒せば、右側の補助翼が上がり左側では逆に下がる。 右翼では補助翼が上がった事により揚力が減少し、左翼では補助翼が下がった事により揚力が増し、 機体を前後軸まわりに右側に回転すると共に横滑りを起こさせる。操縦桿を左に倒せば、この逆となる。 機体:(airframe) 主翼胴体、尾翼、着陸装置、操縦装置等を指す。
防氷装置:(anti-icing system) プロペラ、気化器、ピトー管に氷が付着するのを防ぐ装置。
鈎束装置:(arresting gear) 空母艦載機の着艦滑走距離が伸びるのを防ぐ為に後部胴体下面に取付けられた鈎束装置。
この鈎を飛行甲板に張られた制動鋼索に引っ掛け停止する。 航空魚雷:(aerial torpedo) 雷撃機等に使用される飛行機用魚雷。艦艇搭載魚雷に比べその射程は短いが、
空中投下されるので強度、落下姿勢に特殊の考慮が必要とされている。 航空燃料:(aviation fuel) 航空ガソリン、航空ジェット燃料、高速ディーゼル燃料、ロケット燃料が含まれる。
航空ガソリン:(aviation gasoline) 航空機用レシプロエンジンに使用されるアンティノック性が高く蒸気圧の低い燃料。 |
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[B]
バッフル・プレート:(baffle plate) 空冷エンジンにおいて冷却空気がシリンダの冷却フィンへ充分密着して流れるように取り付けられる整流板。
下傘携行袋:(bag of parachute) 携行の際に、落下傘とその付属装備一式を収納するズック製の袋。
電気の絶縁体/ベークライト:(bakelite) 発明者のベークランドの名前から因んで名付けられ、フェノール樹脂の商品名となっている。
1910年に工業化された。
最良上昇速度:(best angle of clime speed) 最小の水平距離で、最大の高度を得られる上昇対気速度。
最良滑空速度:(best gliding speed) グライダー(或いはエンジンの停止した飛行機)がある高度から最遠方へ到達するには、
最良の滑空比で飛行しなければならない。この最良の滑空比が得られる対気速度をいう。 最良上昇率:(best rate of climb speed) 所定の時間内に、最大の高度を得られる上昇対気速度。
複葉機:(biplane) 2つの主翼を上下に配置した飛行機。構造様式にもよるが同じ主翼面積の単葉機に比べ機体を小さく出来、
しかも構造重量も軽くなるメリットがあるが、現在では一部の機体を除きあまり見かけられない。 ブリスター:(blister) 爆撃機の胴体上下左右側面に設けられた視界を考慮された射手用の風防。
爆弾:(bomb)
航空機から投下される炸裂弾で、用途による様々な種類が在る。
通常爆弾、陸用爆弾、科兵爆弾(毒ガス弾)、潜水艦攻撃用爆弾、
飛行機攻撃用爆弾、徹甲爆弾、焼夷爆弾など等。 爆撃手:(bomb airmer/bombardier) 爆撃機、攻撃機に乗り組み、爆撃操作を行う者。
爆弾倉:(bomb bay) 爆撃機、攻撃機の胴体中央下部の重心位置付近に設けられる爆弾を収納するための場所。
爆撃機:(bomber) 各種の爆弾を携行し、敵地上空でこれを投下する事により敵側兵力の撃滅、粉砕を主任務とする飛行機。
爆弾架:(bomb rack) 爆弾倉内、主翼、胴体下面に設置される爆弾を懸吊するための装置。
爆弾投下装置:(bomb release) 爆撃手が投下装置を作動解除させるレバー。
爆撃照準器:(bomb sight) 地上又は海上の目標に対して、爆撃照準を行う機器。水平爆撃用と急降下爆撃用がある。
補助推進装置:(booster)
飛行機が制限された短距離から離陸をする際に、機体下面に装備されるロケットの補助推進機関を指していう。
補助推進装置として、JATO、RATO等がある。 ブースト制御:(boost control) 過給器付エンジンにあって高度の上昇による大気圧力の減少に応じて、
所要ブースト圧力を一定に保つ操作又は装置。 ブースト圧:(boost pressure) 吸気管内の静圧を指していう。昔は標準大気の海面圧力750mmHgに対する増減量で示していたが、
現在では絶対圧力で示される。 |
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[C]
艦載機:(carrier-based airplane) 航空母艦を基地として行動する飛行機。艦上戦闘機、艦上攻撃機、艦上爆撃機、艦上偵察機等。
前尾翼飛行機:(canard airplane)
翼の配置が普通の飛行機と違い、普通の飛行機の尾翼に相当する尾翼が前翼として主翼より大きな迎え角をもって
主翼前方に取り付けられている形式の飛行機。 戦前の1927年にドイツのフォケルウルフ社が製作したF19には前尾翼が取り付けられており、
この翼の形状が鴨に似ている事から、ドイツ語のエンテから取ったエンテ式と呼ばれていた。 現在では、この呼び名は一部を除き使われておらず、代わってカナードが一般的な用語として用いられている。 トルクの反作用:(counter torque)
エンジンの出力を急変させると横揺れ運動が起こり易く、
これはプロペラブレードに作用するトルクが急激に変化する為にトルクのバランスが崩れてしまう為で、 この現象をトルクの反作用と言う。 単発の曲技飛行機の曲技一つに垂直上昇時に機体がクルクルと回転しながら上昇するのが在り、
これはトルクの反作用を利用している。 カフス:(cuffs)
プロペラの羽根のシャンク部は、強度上の用件から普通、円形断面をしている。 この部分を翼型にした軽い整形材で覆えば、エンジン・ナセルへの 冷却空気及び燃焼空気の流入効果を向上する事が出来る為に整形材によって整形されている。 |
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[D]
上反角:(Dihedral Angle)
低翼機の飛行機を真正面から見ると、主翼は翼端へ行くにしたがって上がっている機体がある。
これは機体に上反角が付いている為である。低翼機では重心位置が翼の上に在る為、 重心に働く重量の回転中心周りのモーメント制御が低く、これを補う為に低翼機には上反角が設けられている。 反面高翼機では、重心位置が低く重心に働く重量の回転中心周りのモーメントは常に横揺れを制御するので、 高翼機の上反角は低翼機よりも少ない。しかも機体が横滑りをした場合、 翼が下に傾いている側は翼端から流れる相対風(空気量)は 胴体によって遮られるので左右の翼に相対風の差が生じ復元性が高まる。 低翼機では上反角を主翼に付ける事で、傾いた翼の下面に当たる相対風を増やし復元性を高めている。
方向探知機:(direction finder) 受信機の一種で、指向性のループアンテナと受信機との組合わせからなる。
ジュラルミン:(duralumin) ドイツのA.Wilmが1903〜11年間に発明した軽合金で、アルミニュウムを主体として銅約4%、マグネシュウム0.3〜1.0%、
マンガン0.5%〜1.0%を加えたもので、不純物として僅かなケイ素を含む。この軽合金を500℃迄熱し水中焼入れをして、 室温で4日位放置すると、引張強さ約40kg/mu、伸び約20%、ブリネル硬度110程度になる。 しかしながら欠点として海水に腐食し易い事があり、 この為ジュラルミンの表面に純アルミニュウムを被膜したものを耐食性を高めたアルクラッド材として使用されている。 蒸留:(distillation)
石油原油を蒸留する事で、比較的揮発性を有する油分(ガソリン)が留出される。
1回の蒸留で各成分をはっきりしたものに分けるのは無理で、 通常2,3回の蒸留後に硫酸又はアルカリで洗浄して精製する。 石油原油は暗赤色、黄色、緑色蛍光を発する液体で、 その生産地によってその性状は異なり、比重の度数が高い程高級ガソリン化し易い。 パラフィン族炭化水素2/3以上を含むものをパラフィン基原油で、 米国東海岸、中部地方、中近東、アフリカ産のガソリンはこれに当たる。 ナフテン族炭化水素を2/3以上含むものをナフテン基原油と言い、米国西海岸、中南米産はこれに当たる。 芳香族炭化水素は東南アジア産に多く含まれる。
海軍蒸留性状規格
揮発性の測定
燃料の揮発性は発動機の始動性、暖気運転、加速等発動機性能に密接に関係し、
アンチノック性と共に重要な性質で、その測定方法は 規定寸法のフラスコ、凝結装置及び計量器を使い100ccの燃料をフラスコに採ってバーナーで加熱し、
温度が10℃上昇する毎に留出量を読んで、図示する。 最初の一滴が計量器に落ちた時の温度が初留温度、10%留出した時の温度を10%温度(10%点)、 50%留出した時の温度を50%温度(50%点)・・・最後に留出し終わった時の温度を100%温度(終点)となる。 例)10%温度(10%点)が高いが低いかは低温時の始動性、蒸発損失及びベーパーロックに関係する。
50%温度(50%点)は主に寒冷時の凍結性、暖気性、加速性及び分配性に関係する。
90%温度(90%点)が高いと点火前の燃料の揮発が不十分の為に失火を起こしやすくなる。
100%温度(終点)の温度が高い程燃料の揮発性は悪く、吸入空気量が減少し出力は減少する。
現在の航空揮発油規格では90%温度(90%点)を135℃以下、100%温度(終点)を170℃以下に制限している。
二重星型エンジン:(double row radial engine)
星型エンジンを前後に配置した物。シリンダ数を増やす事を狙いとしたものであるが
前後列の各シリンダは正面よりみて交互となる。7シリンダ二重星型、9シリンダ二重星型が通常使用される。 |
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[E]
エレクトロン:(elektron) 鋳造用マグネシュウム合金。マグネシュウム、亜鉛合金、少量のアルミニウム、マンガン、鉄を包含する。
昇降舵:(elevator) 水平安定板にヒンジで取り付けられている動翼で、索又は連結棒により操縦席から自由に
上下に操作出来る様になっていて、この操作よって機首が上下する。 昇降舵角:(elevator ange) 昇降舵が上下に動く角度。水平安定板の翼弦方向を基準として測られている。
零戦の昇降舵角は上方に27°、下方に21.5°となっている。
航続時間:(endurance) 機体に搭載している燃料により飛行を継続し得る時間を言う。
エチレン・グリコール:(ethylene glycol) 1858年wurdzによって発見された無色透明の液体。グリセリンよりも粘度が低く、純粋のものは無臭である。
11℃での比重は1.11で水よりも重い。20%の水を混ぜたエチレン・グリコールの凍結点は非常に低く−60℃にも達する。 この様にエチレン・グリコールと水との混合液は凍結点が低いので、 液冷エンジンの冷却液やプロペラの防氷液として使用される。 超々ジュラルミン:(Extra super duralumin) 高力アルミ合金の一種。住友金属研究所研究員の五十嵐勇博士によって研究開発されたもので、 第二次大戦前には既に工業化され住友金属ではこれをESDと呼んでいる。 組成Cu1.5〜2.5、Zn6.0〜9.0、Mg1.2〜1.8、Mn0.3〜1.0、Cr0.1〜0.4%で残りはAlとなっている。 ジュラルミンには添加れていないCrがESDでは加えられている理由として、 時期割れの原因であるZnの結晶が大きく成長し過ぎるのを防ぐのが目的で、Crを添加する事で Znの結晶を多数作り互いの結晶がぶつかり合う事で大きく成長するのを食い止める様にした為。. 米国では大戦なかばにこの材質を知り様々な研究の結果、75Sと言う軽合金を作った。 |
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[F]
羽布:(fabric) 飛行機の機体表面や動翼(昇降舵、方向舵、補助翼)に用いられる布。亜麻、苧麻、木綿、ダグロン等が用いられる。
安全率:(factor safety) 機体の構造材の設計上、耐え得る破壊荷重とその構造材に実際に掛かる最大荷重との比を安全率と言う。
木の葉落し:(falling leaf) 左右の横滑り降下を交互おこなう。地上からみるとあたかも木の葉が落ちる様の見える事からこの名称がある。
フェザリング:(feathering)
多発機のいずれかのエンジンが故障により停止して、
残りのエンジンで飛行する場合には不作動エンジンのプロペラが風車ブレーキ状態となり、 相当の風車抗力が生じる。これにより双発機では左右の推力が非対称とな、飛行を続ける事が困難になる。 左右の推力差を極力抑える為に不作動エンジンのプロペラの羽根を 飛行方向に流し(飛行方向に対して垂直)抗力が最小になる位置へピッチを変える事をフェザリングといる。 逆に、フェザ位置から正常飛行位置へピッチを戻す事をアン・フェザ:(un feathering)と言う。
フィレット:(fillet) 主翼と胴体の結合部にある曲面で成形された整流板のようなものを指す。
固定式降着装置:(fixed landing gear) 飛行中も脚を出しているので、空気抵抗が増える事により速度の向上が望めないが引込装置が無い事で
整備やトラブルの可能性が減り、しかも重量が軽くて済むメリットがある。 固定ピッチプロペラ(fixed pitch propeller) プロペラの羽角が変わらないプロペラで、主に木製プロペラがそうである。
フラップ:(flap) 主翼の後縁に装備されており、
この部分を下げる事により翼の最大揚力係数を大きくして離着陸の速度を減らす事が出来る。 又、フルダウンする事で抗力が増加する事から着陸距離を短くする事も出来る。 零戦に用いられたスプリットフラップ(split flap)
翼後縁部を下方へ折り曲げる形式のもので、これによって後縁の静圧を低くして揚力を増す。
構造が簡単で揚力の増加を図れるが、それと同時に抗力も著しく増える欠点がある。 フラッター:(flutter) 飛行機の舵面は、ある速度域に達すると突然風にはためく旗のように振動を発生し、
その振動が急激に増大する現象。そのまま速度を上げれば、振動は更に激しくなり機体は空中分解に至る。 フラッター速度:(flutter speed) フラッター現象を起こし始める速度。
踏棒:(foot bar) 方向舵を操作する為の踏棒。
戦闘機:(flightr)
単座または複座にして、機銃、小口径機関砲等の武装を装備し、
主に敵の航空機への攻撃を加える事を主任務としている機体。 局地戦闘機、護衛戦闘機、戦闘爆撃機等がある。 給油孔蓋:(filler cap) 給油孔に付けられた蓋で、通常ガス抜き孔とパッキンがあり、紛失しないように鎖が付いているものもある。
消火装置:(fire extinguisher system) 飛行機に火災が生じた時に、炭酸ガス等を使用して消火する装置。
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[G] ガソリン:(gasoline)原油を蒸留する際、溜出する揮発性を有する油分。 航空機用は自動車用ガソリンに比べ揮発性が高く、アンチノック性の良好である事が必要とされる。 海軍発動機用燃料
発動機に使用される燃料は限定されて運用されるが、指定された燃料よりも低い等級の燃料の使用は デットネーションが発生する。 又、高い等級の燃料の使用は発動機設計値より多量に含まれる四エチル鉛の害が発生する。 指定された燃料を使用出来ない場合は、デットネーションの防止の為に次に高い等級の燃料を使用する。 米国の共同燃料研究委員会(Cooporative Fuel Research Committe:CFR)による燃料の等級と色別
1942年から100オクタンは世界中(枢軸国を除く)で100/130と呼ばれるようになり、 総重量:(gross weight) 全備重量の事を総重量ともいう。 かもめ翼/ガルウイング:(gull type wing) 正面から見た飛行機の主翼の形状が、ちょうどかもめが翼を拡げた感じに似ていることからこれを指していう。 写真銃:(gun camera) 機上搭載機銃の発射速度と同調して連続撮影出来る仕組みの小型撮影機。
主に映像は空戦技術向上の為の写真判定に使われ、実戦では戦果確認に使用される。 砲金:(gun metal) 銅90%、錫8%、亜鉛2%から構成される合金。
射手:(gunner) 機上火器を操作する搭乗員。
射爆照準器:(gun sait) 機上火器の射爆照準を行う際に使用される機器。
環型照準器、望遠鏡式、光像式がある。
環型照準器の利点・・・構造が単純で取り扱い調整が容易。
・・・夜間使用が可能。 ・・・視界が限定されない。 欠点・・・目を常に一定点に置かないと照準誤差が生じる。 ・・・目標を拡大視認出来ない。
・・・距離の異なる目標を照門照星にて同時に照準するために鏡式よりも
照準が困難。
望遠鏡式の利点 ・・・目を常に一定に置く必要がなく、目の移動による照準誤差が無い。
・・・目標を倍率によって視認出来る。
欠点・・・視界を限定される。
・・・倍率を使用してる時は、目標との距離判定が難しい。
・・・光学系(レンズ)の汚れや曇りを免れない。
光像式の利点 ・・・目を常に一定に置く必要がなく、目の移動による照準誤差が無い。
・・・視界を限定されない。
・・・夜間使用が可能。
欠点・・・電気系統が故障する可能性がある。
ジャイロ効果:(gyro effect)
右回転プロペラを装備している機体では、右旋回を行うと機首が下がり旋回角が深くなる傾向があるのに対し、
その反対側の左旋回では機首を上げ旋回半径が大きくなる傾向がある。 プロペラは一種のコマであり、プロペラが高速で回転する事でこのような運動傾向として現れる。 機体姿勢を変化させる時に現れる現象をジャイロ効果又はプレセッション(precession)と言う。 |
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[H]
熱処理:(heat treatment) 焼入れ、焼戻し、焼鈍等鉄鋼その他の金属材に所要の性質を付与する為の加熱及び冷却操作を指す。
高級鋳鉄:(high grade cast iron) 普通の鋳鉄と比べると機械的、ならびに物理的性質に優れた鋳鉄。一般に引張り強さ30kg/mu以上のもの。
油圧緩衝装置:(hydraulic shock absober) 油がオリフィスを流れる際にエネルギー損失の現象を利用して振動及び衝撃力を吸収緩和する装置。
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[I]
着氷:(Icing)
吸気系統に発生する着氷には以下の3つがある。
Impact Ice:大気中の過冷却水蒸気の形で存在した水が吸気系統の表面にぶつかって出来る氷と、
液体状態の水が0℃以下の表面にぶつかって出来る氷が在る。 最も危険なのは気化器の調量部分に発生する氷で、混合比に大きく影響する。 Throttle Ice:絞り弁が部分開度の時に流路が狭められて断熱膨張する結果、
温度が降下して空気流中に氷が発生する。絞り弁部分は熱容量が小さく温度が直ぐに下がるので 3℃付近の温度でも着氷が発生する。 Evaporation Ice:空気中に噴射される燃料の蒸発によって発生する氷。
吸入空気から燃料の蒸発の潜熱が奪われて、その温度が0℃以下に下がるからである。 燃料の潜熱による温度降下は40℃位まで達するが、通常は20℃以下である。 この氷は過給器入口を塞いで空気や燃料の流れを妨げて、混合比や混合気の分配に影響を及ぼす。 吸気系統で着氷が発生すると様々な徴候が現れる。 (1)吸気圧力の変化。 (2)混合比の変化-濃厚また希薄に、吸気圧力の変化なし に重大な出力損失を起こす。 (3)排気温度の変化。 (4)絞り弁の固着。 (5)翼、その他の表面への着氷。 ※主翼に着氷が起こると翼断面形状が変わり機は突然失速する事があり、 しかも主翼に厚さ1.5mmの着氷があっただけで失速速度は30%も増加する。 着氷の予防と除去 気化器に着氷が生じた時、これを取り除く方法として航空研究所発動機部で電熱による絞り弁の過熱が考案された。
これは絞り弁を「最中」状の中空に加工して、その中に電気アイロンと同様な発熱体を用いり予熱装置として使用された。 但しこの予熱装置を装備した航研長距離機では、 空気とガソリンが流れている箇所に電熱器を持ち込むという点でパイロット側から強く反対された経緯が在る。 この電熱式の予熱装置以外にも、潤滑油や排気熱を利用した予熱装置が在る。 計器板:(instrulment panel) 飛行に必要な計器を取り付けた板。振動を防ぐ為に防振ゴムを間に介して機体に取り付けられている。
インテグラルタンク:(integral tank) 主翼桁、小骨、外板によって囲まれた空間をそのまま燃料タンクとして利用する形式のタンク。
イソオクタン:(iso−octane) 原油の直接蒸留によって留出した比較的揮発性を有する油分をさらに分解する時に生じる軽質の
プタンガスやブレチンガスを重合させ水素を添加してイソオクタンが合成される。 当時の我が国では原油の処置量が小さい為にプタンガスやブレチンガスと言った分解ガスの入手がし難かった。 そこで、砂糖を発酵させて得られるブタノールを原料にして製造する方法を研究開発していた。 イソオクタン合成の手順は、ブタノールを触媒に通してブレチンとイソプレンに変え、 これを重合させ水素を添加してイソオクタンが合成する。 |
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[K]
ノッキング:(knocking) ピストンエンジンのシリンダ内において、燃料と空気の混合機の未燃焼部分が急激に燃焼した結果、
圧力や温度が異常上昇し金属的打音を発生させる。 |
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[L]
層流翼:(laminer airfoil) 最大翼厚点を翼弦長(翼前縁から翼後縁間での距離)の40〜50%にする事で、
翼型抗力の大部分を占める摩擦抗力の減少を図っている。つまり、翼表面を流れる気流の圧力上昇を小さくし、 境界層の層流より乱流へと移行する点を可能なかぎり翼後縁の方へ持って行くようにした翼型。 着陸装置扉:(landing gear door) 脚を引込めた時、その出入口を塞ぐ覆い。
着陸装置下げ速度:(landing gear extended speed)VLE 脚を下げた状態で安全に飛行出来る最大速度。
着陸装置操作速度:(landing gear operation speed)VLO 脚を安全に上げ下げ出来る最大速度。
わく型空中線:(loop antenna) 受信アンテナの一種で、円形に何回も巻いたワイヤによって方向性を有する。
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[M]
マスバランス:(mass balance) 補助翼、昇降舵、方向舵等の操舵力を適切にする為に取り入れられた錘。
舵軸前方に錘を取り付け操縦翼面全体の前後方向重心が舵軸付近に来るようにしてある。 多重星型エンジン:(multi row radial engine)
シリンダ数を増やす為にシリンダ列を二重、三重あるいは四重に配置した星型エンジンの総称。
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[N]
航法計算盤:(navigation computer)
普通の細長い計算尺を円形にした物で、真高度計算と真速度計算の窓を除いて、内目盛と外目盛は対数目盛になっている。
円形の計算盤では、距離、速度、高度、時間、燃費等の計算を行う。作図板は、ベクトルの作図をする時に用いられるが、 これは飛行に際して航法定規(プロッター)やデバイダーを用いて風力三角形を作図して解いていては 時間が掛かる上実用的では無い為に考案された物。任意の位置を作図板上にプロットするだけで風力三角形を作図した事になり、 短時間で偏流角や対地速度等を簡単に解く事が出来る。 航法定規:(navigation plotter) 航法の際に航空図と共に用いる定規の一種で、哩、浬等の目盛りが刻まれている。
航行灯:(navigation light) 夜間飛行中の飛行機同士、又はその位置並びに飛行方向を示す為に、
飛行機の右舷(緑色)、左舷(赤色)、尾部(白色)に付設される燈火。燈火範囲は、 右舷燈では機軸前方から右方110°、左舷燈では機軸前方から左方110°、 尾燈では機軸後方左右夫々70°に及ぶように規定されている。 夜間飛行:(night flight) 一般に日没から日出迄の間の飛行を言うが、
日没後の薄暮の終りから日出前の黎明の始まるまでの間を定めた場合もある。 ニッケル・クローム鋼:(nickel-chromium steel) 構造用特殊鋼で、ニッケル鋼にクロームを添加したもの。
ニッケル・クロームモリブデン鋼:(nickel-chromium-molybdenum steel) ニッケル・クローム鋼に0.3%程度のモリブデンを添加したもの。
公称/定格:(nominal/rating)
エンジンの運転を行えば、主要部分の磨耗等に伴いエンジンの運転限界が制限されている。
つまり、スロットル・レバーを進めるにつれてシリンダの内圧は上昇し、この内圧による応力は大きくなる。 シリンダ、ピストン、リンク・ロッド、ベアリング等が安全に負荷できる応力には自ずと限界がある。 同様にエンジン回転数も過度の往復・回転慣性力を発生させない様に制限しなければならない。 以上の様な機械的応力に加えて、デットネーションも使用燃料のオクタン価に応じて、 シリンダ内圧とエンジン回転数を設定する要素となる。エンジン出力はトルクと回転数の積で決まるから、 エンジンのシリンダ内圧(トルク)と回転数の限界が設定されれば、その出力の限界は自動的に決まる。 又、燃圧(燃料ポンプ吐出圧力)、油圧、油温、シリンダ温度にも限界が定められ燃圧が低燃圧であった場合、 圧力気化器で薄混合比を発生させてデットネーションを起す為に限界が定められている。 監督機関から要求される耐久運転審査に合格すれば十分に実証された信頼性を確保されるのだが、
公称値はあくまでもカタログ値あり定格値は本来の設計時の目標値と考えられる。 誉エンジンの運転時に措ける諸問題の一例
製品品質の低下
検査による不良品は承知の上で装備され、改造を要する事項も考慮している暇もなく、
その間々生産が続けられ結果的には新たな故障を誘発した。技術的な考察も無く行われた 生産簡易化の一例として「懐中電灯事件」があげられる。 突棒覆(シュラウド・チューブ=筒状のパイプで内部にはプッシュロッドが収められている。) 内部にはプッシュロッドに沿って潤滑油が流れて行くが、 その代用品として懐中電灯の外側を軍監督官が持ってきて、 「これを使っても油は洩れないので十分に丈夫だし、 これなら簡単に沢山作る事が出来る。」と主張し強引に生産簡易化を押し進めてしまった。 結果的にはハンダ付けした部分が熱で熔けて洩油し使用には適さない事から元に戻されている。 常用最大出力/定格最大連続出力:(common use maximum power/ratid maximum
continuous power)
連続運転可能な最大出力を言い、臨界圧力高度及び海面圧力高度における馬力、rpm、
ブースト圧、運転時間について設定される。 陸昇出力/定格離陸出力:(takeoff power/rated takeoff power)
離陸時に用いる最大出力で、海面圧力高度における馬力、rpm、ブースト圧、運転時間について設定される。
信頼性及び耐久性を損なうことなく許される短時間の過負荷運転で、 過負荷の度合に応じた運転制限時間が付けられる。水メタ噴射をする場合としない場合では運転条件が異なる。 |
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[O]
斜め機銃:(Oblique Gun)
従来の機軸に平行して取り付けらる機銃は、射撃時に措いて敵機の未来位置を予測しての
見越し射撃が必要なのだが機体に取り付けられる機銃を機軸に対して斜めに取り付ければ、 敵機と同速度で飛行しつつ敵の死角から無修正射撃が行えしかも命中率が高い事から斜め機銃を装備される事になった。 昭和17年12月当時、251空司令だった小園安名中佐による発案だったが、 当初は奇法すぎるとして横空と空技廠の同意が得られなかった。 後に航空本部の永盛義夫技術少佐と空技廠の田中悦太郎技術中尉らの協力によって、 十三試双戦(二式陸偵)の増加試作機3機が改造された。 後に二式陸偵全機に斜め機銃を装備した夜間戦闘機として改造され、夜間戦闘機月光と命名された。 オクタン価:(octane number) 1926年米国のエドガー博士によって提唱されたもので、ガソリンのアンチノック性を表す数値。
オレオ式緩衝支柱:(oleo strut) 油圧を利用して着陸時の衝撃を緩和するもので、シリンダの役割をする外筒とピストンの役割をする内筒から構成され、
内部には空容積を残し油が入れられている。 OPL式照準器:(type OPL gun sight)
昭和7年に初めて光像式照準器を輸入したのが、フランスのOPL社製の照準器だった事から
以後輸入される光像式照準器について「OPL式」と総称されている。 |
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[P]
出力価/P.N.:(performance number) 英国のブリストル社とロールスロイス社がアメリカから輸入された燃料を用いて発動機の試験運転を行った際、 供試燃料の違い伴う出力値の違いを発見した。 その後、多くの研究の結果から100オクタン価以上の燃料のアンチノック性を表すのに用いられている。 例)100/130では、100は薄混合気での出力増大比、130は濃混合気での出力増大比である。 つまり、濃混合気では薄混合気のときよりもノッキングを起こす事なく+30%の出力増加が可能である事が分かる。 P.N.115の燃料はイソオクタンで運転されたときよりも、ノッキングを起こす事なく+15%の出力増加が出来る事を示している。 ピト・ヒーター:(pitot heater) 飛行中にピトー管の頭部や管内に着氷すると速度計が使用出来なくなるので、 ピトー管に氷が着氷しないように電熱により氷を解かすようにしている加熱装置をピトー・ヒーターと言う。 ピトー静圧管:(pito-static tube) 動圧と静圧の差を伝える円筒状の管で、静圧管と動圧管の2本から構成される。
一つの管は正面に開口して動圧を、もう一つの管は側面に開口していて伝えるようになっている。
プラスティク:(plastic) 合成樹脂
プレキシグラス:(plexiglass) アクリル樹脂の商品名
ポーポイズ:(porpoise)
着陸の際、降下率が大きく接地直後の操舵が適切でない場合、 滑走路面上を跳ねるような接地と縦揺れとが組み合った運動を繰り返す。 簡単に言えば、イルカが海面上を飛び跳ねる運動を繰り返す事に近い。 着陸装置が自転車式(胴体の前後に主輪を配置したもの)では重心と車輪の位置が離れているので、 前・後輪同時に接地しないとポーポイズを発生する。 プロペラ:(propeller) エンジンの回転力を推力に変え、抵抗に打ちかって前進させるもの。
飛行速度×推力とトルク×回転速度との比からプロペラ効率が求められる。 プロペラ調節器:(propeller governor) 定速プロペラについては、エンジンの回転を一定に保つ装置。油圧式と電気式とが在る。
プロペラピッチ:(propeller pitch)
プロペラのピッチとは、ねじのピッチと同じ様にプロペラが1回転する間に進む前進距離(m又はft)である。
原型機:(prototype airplane) 最初に完成した試作機を原型機と言うが、その後の数機の試作機をも含めて称される事が多い。
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[R]
星型エンジン:(radial engine) クランク室の周囲にシリンダを放射状に配列した形式のエンジンを言う。
単列と複列(シリンダが2列のもの)星型がある。 無線機架:(radio rack) 機上装備の無線装置を設置するに用いられる防振等が考慮された架台。
ラム効果:(ram effect) 物体が空気中を移動する際に、物体の運動によって生じる空気圧をラム効果又はラム圧力と言う。
航続距離:(range) 機体に装備された燃料によって飛び続けられる距離。
共振試験:(resonance test) 機体の各部に夫々の固有振動を与えると共振して大きく振動し、その際の各部の分布を測定する。
これらの結果から、フラッターに対する剛性上の検討が行われる。 引込機構:(retracting mechanism) 着陸装置を引込める為の機構。
引込装置:(retracting system) 着陸装置を引込める為の機構系統全体を示して言う。
引込脚:(retracting landing gear) 飛行中の脚に生じる空気抵抗を減らす為に脚を機体の中へ折り畳む方式のもので、油圧、空気圧、電気、手動
回転後流:(rotaing flow)
飛行機の速度が低速でしかも高出力状況ではプロペラが回転する事により後流は回転し、
右回転プロペラでは左翼は上向き、右翼では下向きの力を受けて機体は右方向へロールしようとする。 この影響を修正する為に垂直尾翼にキャンバーを持たせたり、 垂直尾翼の取り付け角を左へずらし(オフセット:offset)モーメントによる影響を打ち消している。 横転:(roll)
機体の前後軸を中心として回転する運動。急横転、急半転、緩横転がある。
横揺れ:(rolling) 機体の前後軸まわりの運動。
方向舵:(rudder) 垂直安定板の後部にヒンジで取り付けられている動翼。
方向舵ペダル:(rudder pedal) 方向舵を左右に操作するペダル。
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[S]
半片持単葉機:(semi-cantilever monoplane) 主翼が左右の支柱で支持されている単葉機
セミモノコック構造:(semi-monocoque construction) モノコック構造の外板とフレームに縦通材(ストリンガー)が加わった構造。
剥離:(separation) 物体の表面に沿って流れている境界層も、その物体の表面から離れると逆流を生じ、
それが渦となって後方へ流れ去っていく。これを剥離と言い、その後方の流れを伴流(wake)という。 剥離点:(separation point) 境界層が剥離する地点。
実用上昇限度:(service ceilling) 標準大気内での飛行機の最大上昇率が0.5m/sまたは30.48m/minになってしまう高度。
シミーダンパー:(shimmy damper)
操向式の前脚では地上滑走中にシミー(Shimmy)と言う首振り振動を発生するので、
それを防ぐ為にシミーダンパーと呼ばれる油圧ダンパーを前脚に設置して減衰防止している。 単発機:(single-engine aircraft) エンジンが1基のものを言う。
六分力天秤:(six-component balance) 風洞実験の際に用いられる天秤で、揚力、抗力、横力、、横揺れモーメント、縦揺れモーメント、
偏揺れモーメントがそれぞれ測定出来るようになっている。 外滑り:(skid) 操作ミスの一種で、旋回方向へ方向舵を踏み過ぎると旋回経路に対して機首は内側に向かって気流が
機軸の外から入り込む為に正常旋回経路から外側へ滑る現象。円の外側に滑る旋回飛行を外滑り旋回という。 内滑り:(slip) 釣り合いの取れた定常旋回中に機体の傾き方(バンク)を大きく過ぎたり、
方向舵の踏み込みを緩めたりすると旋回の釣り合いが崩れて、機体は機軸とは異なる方向へ飛行する。 円の内側に滑る旋回飛行を内滑り旋回という。
落下タンク/増槽:(slip tank/drop tank) 航続距離を補う為に機体外部に装備する補助燃料タンクで、
使用後又は必要に応じて切り離し投棄出来るようになっている。 スロット:(slot)
主翼前縁付近に設けられた隙間を言う。大迎え角になると、
翼下面の空気流の一部が翼上面に流れる事で剥離しかかった上面の気流の流れを抑制し、 最大揚力係数を高める働きもする。 桁:(spar) 翼内構造として翼幅方向へ配置された桁材。翼に使用する桁材は剛性の高い材料又は形状にして、
曲げモーメント、捩りモーメントに耐えられるようにしてある。 その構造様式は、わく組構造、応力外皮構造があり飛行機によっては桁を2〜数本配置したものもある。 点火栓:(spark plug) ピストンエンジンのシリンダヘッドに設置され、絶縁された電極間に火花を放電させてシリンダ内の混合気に点火する為のもの。
絶縁材は、雲母、陶磁器などが使用されている。 スパッツ:(spat)
飛行中の固定脚は抗力を生じスピードの妨げるになる。 その対策として車輪、脚柱に覆いを被せている。この流線型の覆いをスパッツという。 スピナ:(spinner)
スピナにはイラストに在る様にNACA(アメリカ航空諮問委員会)のD型及びE型の2種類がある。 D型スピナとはその断面形がアルファベットのDの形に近い事から呼ばれ、 小型・軽量であり殆どの機種にはこの型のスピナが採用されている。 現在に措いてスピナと言えば、D型スピナを意味する。 E型スピナはその断面形状がアルファベットのEの形に近い事から呼ばれ、戦前の機体に多く見られる。 スピナ先端部に開口部を設ける事でラム効果によりエンジン・ナセルに多量の空気を流入させ、 エンジン効率及び冷却効率を向上させる事が出来る。通常、D型スピナのラム効果が0.9なのに対し、 E型スピナのラム効果は0.95〜0.98と高いくこの型を用いればエンジンの空気取り入れ口を前方にもって行く事が出来、 乱れのない空気をエンジンに供給する事がメリットがある。 但し現在では、機首部分が重くなる欠点から採用されていない 操縦桿:(stick) 飛行機の補助翼、昇降舵を操作する操縦装置。片手で1本のスティックを握り操作するので、
機動性の高い飛行機の操作に適している。 応力:(stress) 物体が外力を受けた際に、これと釣り合うために物体内に生じる反発力。
応力外皮構造:(stressed skin construction) 胴体、翼などの外板にも曲げ応力、剪断応力に抗する力を受けもたせるようにしたもので、
胴体断面の形をした胴体枠と胴体の前後方向に通した縦通材からなる骨組みに外板を張った構造。 翼の場合でも同じで、翼の断面形をした小骨(リブ)と翼の横方向に通した縦通材からなる骨組に外板が張られる。 縦通材/ストリンガー:(stringer) 主縦通材と並行して外板に設けられる補強材。
支柱:(strut) 半片持単葉機の翼支柱、主降着装置の脚支柱等。
過給機付エンジン:(supercharged engine) 過給機が装備されているエンジン。
過給機:(supercharger) 空気密度は高空へ上昇するに比例して減少するからエンジンの出力は必然的に減少してしまう。
過給機は、この出力低減を補う為の装置。 超ジュラルミン:(super duralumin) ジュラルミンの強度を増大させた軽合金で、銅4.5%、マグネシウム1.5%、マンガン0.6%、
残りアルミニウムから構成されている。 焼き入れ温度400〜500℃、水中冷却後、常温放置2〜4日間、190℃、8〜12時間で焼き戻しを行う。 同じ素材で米国の24S合金がある。 |
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[T]
タブ:(tab) タブとは各動翼の後縁に取り付けられた小さな固定、又は可動の翼面をいう。
1.ベント・タブ
補助翼や方向舵に多く用いられている。機体製造時の左右のアンバランスを修正するに用いられ、
例えば右補助翼のタブを上げると右翼が上がり、方向舵のタブを右に曲げると機首は左に、 機体は右に滑るようになる。 2.トリム・タブ
非可逆式のアクチュエータ(ジャッキ)を利用して、飛行中に速度に応じてタブ角を変更し、
適当な手離舵角を得たり、左右のアンバランスの修正に使用する。 3.バランス・タブ
操舵力軽減用のタブで、リンク機構により舵角に比例してタブが動くようになっている。
4.サーボ・タブ
バランス・タブよりも操舵力を軽くしたい時に使う。パイロットは舵面を操作せずに直接タブを操作し、
舵面は空気力に釣り合う角度迄浮動するので操舵力の軽減が図れるが、 速度の低い時は、舵面の重量や慣性力の影響が大きくて特性が悪くなる。 5.スプリング・タブ
バランス・タブやサーボ・タブの欠点を補うもので、
パイロットの操舵力はタブとスプリングを介して舵面に伝えられるようになっている。 速度の遅い時等は、パイロットの力は主として舵面に加わり、タブは殆ど動かないが、 高速時、大舵角時にはスプリングが伸び、タブの舵角が大きくなって操舵力を軽減するようになっている。 タクトシステム:(tact system) タクトシステムは従来の一人の工員が行う多技能工程を止め単技能工程にして同じ工程を繰り返し行う事で、 工員が作業に馴れ作業効率の向上を図ったとされてます。 各工程を分析(工場設備等)し、それが連続的につながる工程であれればベルトシステムとなり、 されが出来ない場合はタクトシステムとなる。最初にこの量産システムを採用したのがドイツと言われている。 尾脚:(tail undercarriage) 胴体末端に装備された着陸装置。固定式と引込式がある。
尾輪:(tail wheel) 尾脚に装備された車輪のこと。方向舵と連動して操向出来るものと自由に動くものがある。
米国では尾輪式飛行機の事をテールドラッガー(tail drager)と呼ぶ。
オーバーホール時間間隔:(time between Overhaul) 飛行機及び装備品等の信頼性を維持する為に一定間隔でオーバーホールを繰り返す整備方式があり、
このオーバーホール毎の指定時間をTBOという。 四エチル鉛:(tettra ethyl lead) 無色の液体でガソリンの制爆剤として用いられる。
混合気は燃焼により水と酸素になる以前に中間生成物となりこの中の 過酸化濃度が限界に達するとデットネーションが発生する。 四エチル鉛は炎前の反応を遅らせて過酸化濃度の生成を抑制し、発火遅れを大きくする。 但し四エチル鉛は酸化鉛となり燃焼室に蓄積するので、
これを防ぐ為に清浄剤として二臭化エチレンと四エチル鉛の混合したエチル液を混入する。 絞り弁レバー:(throttle lever) エンジンの絞り弁を操作する為のレバー。
絞り弁:(throttle valve) ピストン・エンジンにあっては、気化器とシリンダとの間に設置される加減弁。
翼端失速:(tip stall) 翼に発生する失速現象の一つで、翼端から失速現象が起こり、次第に内側へと進むものを指していう。
後退翼や先細翼に発生し易い。九六艦戦に初めて導入された捩り下げは、 十二試艦戦の直線先細翼ではいっそう有効だった。 トーション・ボックス:(torsion box)
前後の主桁と上下両面の外板とで箱型構造を形成し、主翼に掛かる曲げ及び捩り荷重に耐えられるようにした
タウネンド・リング:(townend ring) カウリングの一種で、1928年英国のtownend氏によって考案されたもの。
空重:(true weight) 飛行機の重量の内、機体構造、動力装置、使用出来ない燃料、抜き出せない滑油、作動油、
固定装備を合計した物を空重という。 二速過給器:(two phase supercharger) インペラ(翼車)の回転速度を低速、高速の2段に切換えられる歯車駆動過給器。
二段過給器:(two stage supercharger) インペラに前段低速、後段高速の二つのインペラを有する形式の過給器。
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[V]
弁:(valve) ピストンエンジンのシリンダヘッドに在り、混合気の吸気及び燃焼ガスの排気を制御する弁。
弁発条:(valve spring) 弁頭を弁座に押さえつける事で、吸排気弁の開閉を司る役割をするスプリング。
蒸気閉塞:(vapour lock) 燃料系統の管が高温下において、ガソリンの蒸気が発生して燃料の流動が阻害されてしまう現象。
可変ピッチプロペラ:(variable pitch propeller) 飛行中、必要に応じてプロペラのピッチを変える事の出来るプロペラ。
垂直安定板:(vertical stabilizer) 機に方向安定を与える為に機体後部に垂直に固定される翼面。
垂直尾翼:(vertial tail) 固定された翼面部分とその後方の可動部分から構成される。
空間識失調、バーディゴ:(vertigo)
空間に措いて、G、視覚又は精神的な影響によって自己の姿勢、方向等の空間識を失う事を一般に バーディゴと言うが、正式にはspacial disorientationと呼ばれる。 飛行中の飛行機に措いては、夜間飛行、雲中飛行の時に発生する事が多く、 機体の実際の傾斜と体感傾斜が異なる傾斜感覚異常又は方向感覚が事なる 方向感覚異常等があり状況によっては最悪、墜落に至るケースが在る。 この状況を回避するには、姿勢指示器の指示を信じる事が最良とされている。 |
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[W]
水噴射系統:(water injection system)
離陸出力の増加の為に大型発動機に使用され、
デトネーションの発生を水噴射によって防ぐのでADI系統(anti detonation injection system)とも言われる。 水噴射による出力増加の原理は図を用いて、次の様に説明出来る。 水噴射をしない運転では、離陸出力はデトネーションの発生を防ぐ為に、 最良混合比と最良出力混合比の差に相当する燃料を過剰燃料といい、過剰燃料は その気化熱によって混合気の温度を下げる事により、デトネーションの発生を防ぐ役割をする。
水噴射系統ではこの過剰燃料の役を水に行わせる事で、 燃料流量を減らして最良出力混合比で運転する事が出来(図の曲線I上のb点)、 出力の増加(図@)が得られる。その上、水の気化による混合気の冷却が良いので、 デトネーションを起す事なしに更にMAPを上げて運転する事が出来る(図の曲線U上の点C)ので、 出力増加(図のA)が追加される。結局水噴射による出力増加は@とAの合計となる。 水噴射に伴う燃料流量の減少は、混合気供給系統にあるデリッチメント・バルブでなされる。
水噴射が始まると水圧がダイヤフラムに掛かってバルブを左に動かし、 エンリッチメント・ジェットの一つを閉じて過剰燃料を断つ。 水噴射を止めると水圧が減ってスプリングの力でバルブは右へ動き、 過剰燃料がエンリッチメント・ジェットを通って供給される 重心位置計算:(weight and balance) 飛行機の重量や重心位置を実測や計算により計測すること。重心位置は実測により決定しておき、
運用の際に搭載量の重量、重心を計算して認められた重量と重心位置が範囲内であるのを確認する。 主翼:(wing) 飛行に必要な揚力を発生させる翼を主翼という。主翼には補助翼、
フラップを備えている。内部は主に燃料タンクとして利用される。 翼面積:(wing area) 主翼の面積を指していう。
翼取付角:(wing incidence) 翼弦と基準線とのなす角度。
主翼荷重:(wing load) 主翼に作用する空気力と主翼の自重による慣性力との和。
翼面荷重:(wing loading) 飛行機の全備重量を主翼面積で除した値。
木製プロペラ:(wooden propeller)
木製の固定ピッチプロペラは旧式の単発機に多く採用されている。
図に示す様に普通、5枚以上の同じ厚さのかば材の板を接着剤で接着し、 成型する。プロペラの先端の凡そ30cm〜38cm(12〜15in)の部分には木綿布を接着して補強し、 ドープ塗料を塗って紫外線から保護したりする事も在る。羽根の表面には透明ワニスを塗って仕上げる。 前縁には小石等による損傷を防ぐ為にモネル合金、 真鍮又はステンレス鋼のティッピング(tipping)と呼ばれるガードが取り付けられるものもある。 |
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航空用語解説計器編 | |||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
[A]
高度計:(altimeter)
大気の圧力を測定して、標準大気の圧力と高度の関係を用いて高度を知る事が出来る計器。
人工水平儀/姿勢指示器:(artificial horizon/gyro horizon) 飛行中の飛行機の3次元的な動きを、水平線との関係において視覚的に表示するジャイロ計器をいう。
この計器の水平線は常に垂直ジャイロのジンバルと結合されて水平位置を保持しているので、 計器前面のミニチュア、エアプレーンとの関係により機体の姿勢を知ることができる。 空気で駆動されるジャイロ・ローターを装備する計器のローターの自立制御出来る速度は 比較的低くローターを起動した場合には、自立に要する時間が長くなる為に 起動時のみ空気流量を増やしローターの自立速度を大きくし(Fast Erection)、 自立後は空気流量を減少させ自立能力を弱くする。 又は、急旋回、急減速時に機上の見かけの重力の方向にジャイロ・ローター軸が傾く事を防ぐ為に 空気流量を増やし計器の指針を固定する。 主に加減速時(離着陸)及び旋回時には自立制御が切られる。これらの空気流量の操作を行う為に計器には、 空気孔開閉レバーが装備されている。 高度計規正:(altimetet setting) 気圧高度計が指針する高度は、単にアネロイド式空盒気圧計の指針の状態の
伝えているだけにすぎない。実際にある高度基準面からの気圧高度を求めようとする場合には、 高度計の指針をその基準面の気圧に整合させる必要がある。 この気圧高度計の指針の狂いを補正する処置を高度計規正といい、その方法は整合用のつまみを回して行う。 対気速度計:(air speed indicator) ピトー管によって得られる動圧と静圧との差を用いて、飛行中の速度が知る事が出来る計器。
但し、空気の状態(空気密度等)によって速度の指示値に誤差を生じる。 |
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[B]
旋回計:(bank indicator)
飛行機の旋回時、バンク角が適正か否かを示す計器。
すべり計/ボール傾斜計:(ball inclinometer)
湾曲したガラス管の中に封入されたケロシン/Kerosene(灯油)と鉄球から構成されている計器。
飛行機が左右どちらかへ傾くと、球はどちらかへ片寄る。 気圧高度計:(barometric altimeter) 気圧の高さに応ずる気圧変化を測定して高度を推定するようにした計器。
計器内部にはアネロイド空盒があり、 気圧の変化に応じて伸縮の具合を拡大して高度計の指針に伝えるようにしてある。 ブースト計:(boost gauge)
ブースト圧力を知る為のアネロイド型の圧力計器。
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[D]
定針儀:(directional gyro)
ジャイロを利用したコンパスで、米国スペリー社が創設した装置。
前後、上下左右の三軸に対して自由度を有する自由ジャイロは、 その転輪軸が空間に対して一定方向を示す性質を利用したものである。 但し地球が自転している事で指針に誤差を生じる為、 コンパスとして有効なのは15分間程度で、実用の際は15分毎にずれを修正する。 |
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[E]
電気式回転計:(electrical tachometer)
多発機ではエンジンから計器板迄の距離が在り、エンジンの回転数を可撓軸によって導く直接駆動式では、
その経路に曲がり多く機械的な伝達に不具合を生じる為、エンジンの近くでエンジンの回転速度を電気信号に変えて指示器迄送り、 指示器内で電気信号によって回転速度を表示する方式の計器。 排気ガス温度計:(EGT/exhaust gas temperature indicator)
排気ガス温度を測定する事で、空燃比の調整等に用いられる。
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〔F〕
フライト・ディクター/ダイレクター:(flight director)
航空機がある目的地に向かって飛行する場合、水平儀、高度計等により飛行姿勢、高度を知り、 リモート・コンパス、偏位計等により、予め設定した航路からの偏位を知って、 計器を見ながらその航路の修正が必要か判断して操縦する。 航路の修正判断をパイロットに代わりコンピューターで計算させ、図に示す垂直指針、水平指針を振らせ、 これをみて指針が常に中央にくる様に操縦すればパイロットの負担が軽減される。これをフライト・ディクターと言う。 当初はゼロ・リーダーとも呼ばれていた。
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[M]
吸気圧力計:(manifold pressure indicator)
シリンダに吸入される空気、燃料混合比の圧力を測る計器。
吸気圧力計はエンジンの回転速度との組み合わせで、エンジン出力が推定出来る。 直接駆動式回転計:(mechanically driven electrical tachometer)
エンジンの回転を可撓軸で計板迄導いて回転計に結合される方式の計器。
エンジンの回転速度は、1分間の回転数(rpm/revolution per minute)で表される。 |
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[O]
滑油圧力計:(oil pressure indicator)
滑油がエンジンに送り込まれる圧力を測って滑油が正常に送り込まれているか否かを監視する為に取り付けられる計器。
滑油温度計:(oil temperture indicator)
エンジンに供給される滑油の温度を測定する計器。滑油温度計には、
電気抵抗式温度計や液体膨張式温度計等が用いられる。 外気温度計:(OAT/outside air temperature)
エンジンの出力設定、着氷防止、燃料中の水分の凍結防止等の目的で装備される。
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[R]
電波高度計:(radio altimeter)
機上から地表又は海面上に向けて電波を発射してから、
その反射波が機体に戻ってくる時間から地表又は海面上からの垂直距離をしる計器。 気圧高度計の様に気圧による誤差が無く精確な高度が得られる。 夜間低空飛行に措いて気圧高度計の誤差が在った為に、事故を起こしたケースが多い 昇降計:(rate of climb indicator)
機体が上昇あるいは降下する際の速さを指示する計器。
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[S]
吸引圧力計:(suction gauge)
空気駆動式のジャイロ計器を装備した航空機には、ジャイロを駆動する為の真空ポンプ及びペンチュリ管を備えていて、
その吸引圧力を指示する吸気圧力計が取り付けられている。 |
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[T]
回転計:(tachometer)
エンジンの回転数を知る為の計器。遠心式、時計式、電気式等がある。
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