新日本機考別館
川崎95式戦闘機 (ki-10)

資料提供、イラスト協力
Ken Glass 
@  book 'Vzestup a p'ad orlu Nipponu 1931-1941',
by Lubomir Vejrik,
c.1994, Prague, Czechia
magazine 'Samoloty Mira' 3/2000

ta.gucci
作画参考=ホビージャパン79.3・航空ファン80.12・
陸海空ピクトリアル10号?・
長谷川一郎氏イラスト(雑誌名失念)
masa

解説
 
 
第一中隊長 加藤建夫大尉の搭乗機であるが、方向舵には識別の為に苗字の一字が描かれている。
写真上のコントラストでは胴体帯と方向舵に施されたマーキングの色合いは同じ赤色の様に思えるのだが、
方向舵のマーキングは緑、胴体帯を赤とした。陸軍機の羽布張の機体には灰色塗装機が多いのだが、
これは銀ドープ仕上げの間々だと機体上面が反射して眩しい欠点が在った為に
上塗り塗装が行われる様になり機体表面が平滑に仕上げられた為たであろう。
では、白色では無く灰色を選択した経緯には、白は物体の色の中で最も明るい色だった為に
灰色が選択されたとも考えられる。
海軍機に在っては、制限された狭い空母の飛行甲板での運用を前提としていた為に上塗りによる重量増加で
発艦性能が低下するのを懸念し銀ドープ仕上げの間々の機体が多かった可能性も在ったであろう。

金属製外板カバー類には速度性能向上の為にドル二エ式の沈頭鋲が使用されていた。


川崎95式1型戦闘機(キ10I)
 
性能概要
全幅       9.55m
全長       7.20m
全高       3.00m
主翼面積    9.55m
自重       1.300kg
総重量      1.650kg
翼面荷重     82.5kg/u
エンジン(型式) ハ9U甲 水冷V型12気筒 
公称出力720HP(離昇出力850HP)×1
プロペラ      アルミ合金製固定ピッチ3翅プロペラ 
直径        2.90m
最大速度     400km/h/3,000m
上昇時間     5分/5,000m
実用上昇限度  10,000m
航続距離     1,100km
武装        7,7mm機銃×2
乗員        1名
試作        4機
生産        300機
 
 

@  book 'Vzestup a p'ad orlu Nipponu 1931-1941', by Lubomir Vejrik,
              c.1994, Prague, Czechia

magazine 'Samoloty Mira' 3/2000
操縦席(及び計器類)
95式戦ではスロットルレバーの操作方法が
其れまでの加速時にはスロットルレバーを
手前に引き、減速時にはレバーを
前方に押す方式だったのが
海軍機と同じ加速時には前方に押す方式に
改められたのが特徴的だったと言える。


機銃
機首機銃の同調方式は其れまでの
ビッカーズの油圧式から、
陸軍が開発した機械式の同調装置が
使用される様になった。

エンジン・機首回り
エンジン写真
ハ9Iエンジンの航空性能が
当初計画した額面よりも不十分だった為に、
95式戦に搭載されたハ9U甲では
ピストンのストロークを20mm減少して170mmとして、
回転数を2,000回転へと上げている。



ハ9U甲エンジンでは前端部の改善により
機首部分は流線型に近付けられ、
前面面積が減少している。
主脚
主脚写真
最大速度の400km付近で飛行した際の
直径70cmの車輪は
正面面積が大きい為31kgの抗力が
加わる事から車輪には
流線型(スパッツ:spat)の覆いを装着し抗力の
減少を図っている。
又、主脚はスプリングオレオ式にする事で
形状断面を細くして抗力の減少させている。
胴体及び主翼

主翼の上翼には重力式燃料タンクが装備されており、燃料が重力のみで供給され、
しかも燃料タンクが気化器よりも高い位置に在るので離陸時や加速時に必要な量の
1.5倍の燃料流量が得られるだけの燃料圧力が確保されるように設計されている。
従って、低翼機とは違い燃料ブースタ ポンプは装備されていない。




主翼の翼型は92式戦と同じM-12であるが、前後桁内面には張線が使用されリブの間隔を
狭くする事で羽布のサッギングを最小に押さえられている。前桁までの前縁は金属外板張りされているが、
前縁を含めて主翼の全表面を羽布張りで表面が鏡の様に平滑に磨き仕上げされていた。






 

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